安斎というキャラクターの魅力が際立つ話でした。
猿に襲われた同僚を救うため、早乙女は矢ノ口落としまで戻り始めました。さらに元アメフト部の巨漢である安斎もそれに続きます。ここで私が気になったのは早すぎる猿出現のタイミングです。猿としては早乙女たちが完全に見えなくなってから負傷者を襲えば楽なのです。そうすれば矢ノ口落としの光景は社長たち本隊から見えず救助に戻ることは不可能です。つまりタイミングによっては早乙女と安斎が戻ってくることは出来なかったのです。しかし猿は早めに姿を現しました。これではまるで早乙女が戻ってくるのを誘っているようです。もしかすると体力のある早乙女たちを社長のいる本隊から引き離す罠かもしれないと思いました。これまでの流れで考えても猿は必ずスキを突いて少しづつ命を奪っています。寝込みを襲ったり急坂の地形を利用したり集団の弱い部分から削っているという事です。
勇敢にも猿に素手で立ち向かった早乙女を安斎が加勢しました。その方法は石を投げるという原始的なものでした。しかしこれが意外なほど効果的で猿は逃げ出します。たしかに石を投げれば猿のナタから距離を取ることが可能です。そしてもし猿に接近されても石で顔面を殴れば反撃できます。ここでは安斎の冷静な思考を読みとることが出来て満足でした。