多くの社員がトラップにかかった事が理解できないため緊張感が高まりました。
早乙女だけが標識のトラップを見破り先頭に引き返すように叫びました。しかし周りは簡単には理解してくれなかったのです。自分たちが襲われる理由が見当たらないというのが主な理由だと考えられます。また引き返すということは大猿のいた方向へ進むことになります。
この標識の仕掛けは単純で効果的なものだと思いました。しらび山から下山するため社長たちは矢ノ口へ向かいます。しかしその矢ノ口の標識は何者かに変えられてしまっていました。矢ノ口にはこの先に進むと矢ノ口があるかのようなニセの方向版がかけられていたのです。そのため矢ノ口から分岐して下山すべき道を見逃してさらに山奥に進んでしまいました。板切れ一枚で集団を誘導する仕掛けはリアルであり見事です。
下山ルートを通り過ぎた一行は矢ノ口落としという急坂に差し掛かりました。この坂はハシゴのような細い階段があるだけで一人づつ慎重に降りなければ危険です。そこへ大猿が背後から迫りました。このあたりで私は大猿の知性を感じました。まず坂の上と下で集団が分断されています。さらにハシゴがせまいために逃げるに逃げられない状況です。そこを狙って襲う大猿は人間のような頭脳を持っていると思いました。