この作品もゾンビ作品の存在しない世界だと思われます。
よくゾンビ作品ではゾンビ知識を誰も持たないケースがあります。それはその世界では漫画でも映画でもゾンビ物が作られていないということが前提となっているのです。ですからゾンビの弱点を把握するのに大変な時間と犠牲が費やされます。むろん我々の世界ではゾンビ物作品があります。ですから万が一、ゾンビが実際に街にあふれても「ゾンビだな。」と認識することが可能です。さらに「ゾンビなら首を切るか頭をつぶすかだな。」と弱点も予想できます。ですから素人でもゾンビに襲われた場合にはダメ元で首を狙ったりできるわけです。当作品ではフィフスという頭部銃撃が偶然早い段階で効果があると分かって弱点の把握に貢献しました。これまで一切、ゾンビ作品に言及がないので、つまり既知のゾンビとの差異を主人公たちが気づいたりすることが無かったのでこの世界にはゾンビ物がなかったと推測できます。ただこの議論は作品の面白さとはあまり関係が無いので無駄な議論だと言えます。
この作品のゾンビはターゲットが人間かゾンビかを判断するのに動きを見ます。体の動かし方など総合的に見て判断して襲うのです。ならば普通の人間でも「あー」と言ってゾンビっぽく動けば襲われないことになります。ゾンビの集団に囲まれたときにはこの術はやってみる価値がありそうです。
今回私が気に入ったのは刑事を刺した瀬津を修造が倒すと決心することです。修造はヘタレでどうしようもないクズですが彼がそれを決めたことが感動的です。特に彼がグラサンを身に着けていることが象徴していると感じました。まず修造の姿は短パンで星のシャツを着てセンスが疑われます。つまり浮いているのです。しかしそんな修造でも高いグラサンをキメて格好つけることはします。刑事を目の前で殺した瀬津だけは許さないという正義が修造のグラサンなのです。