読む時期が遅すぎたかなと感じました。
物語はニューヨークのアンという入院患者から始まりました。彼女の体内の水疱瘡ウィルスが変異してゾンビウィルスとなり看護師などを襲ってしまいます。そこから全世界にゾンビパンデミックが起きて日本はまだ水際対策が効いているというスタートです。2019パンデミックのさなかに読んでいれば予言の書として楽しめたはずですが遅すぎた感もあります。ただウィルスパンデミックはこれからも起きるはずですから、こういった作品も時代遅れにはならないはずです。
引きこもりのアイドルオタクである藤岡修造はお気に入りのアイドルの握手会で手をかまれてしまいました。そのアイドルもマネージャーに腕をかまれていたのですから大変です。なんとマネージャーもアイドルもゾンビウィルスに感染していたのです。つまりアイドルイベントでは神と言われている修造も感染したことになります。
アイドルがまっさきにウィルスに感染するという設定は他の作品でも見たことはあります。パンデミック物のオープニングにふさわしい意外性です。ただ私は芸能人が先に感染するというのは自然な現象だと納得しています。まず芸能人や政治家は多くの初対面の人々と会って握手をしたりします。あるいは会食を共にすることも多いはずです。そうなれば飛沫感染のリスクは高く最初の被害者になることは合理的なのです。
今後の注目点ですがゾンビに首をかまれた者は頸動脈からの失血死で死亡します。そしてゾンビ化してまた人を襲うのです。しかし手や腕をかまれただけの者は失血死には至りません。そうであれば生きたままゾンビウィルスの感染者となるわけで、それがこのアイドルみーもんや修造にあたります。彼らは今後生きたままたまに発作的に人を襲うのか、じわじわ死に至り本格的にゾンビとなるのかは不明です。他の多くの作品では手をチョイと噛まれただけの者は徐々に具合が悪くなり死んでゾンビとなります。