波金の口調の変わるシーンには感服しました。
柘榴、鶴、波金は箱の中へ向かうため直通の地下鉄に乗っていました。この鉄道は実験体になる屍体の変異種も多数乗せています。そのとき変異種の一体が異常増殖をはじめて列車と融合しはじめたのです。金属と融合するだなんて私も驚かされました。警備担当の完全武装の者らも次々に飲み込まれてしまいました。なるほど屍体は人間のパワーと同じぐらいですが、まれに変異種で人間が太刀打ちできない屍体が出現するのです。もしもこの変異種が普通の都市に放たれればパンデミックは一気に広がる可能性があります。
普通の屍体は力も弱く屋内に避難して嚙まれないようにすれば感染を防げます。そこへエージェントなどプロが向かえば退治できるはずです。しかしこのような変異種は建物を壊して避難者を襲い、エージェントの火炎放射でも動きを弱めるのがやっとなのです。さらに取り込んだ人物をコピーして仲間だと勘違いさせて襲うという高度な攻撃もしてきます。ですから変異種の可能性がある屍体をとりあえず地下鉄に乗せて箱の中へ送るのは大正解だったのです。箱の中へ送り込めば強固な隔離がされているので一般人への被害を止められます。
今回、波金の口調が変わる場面が印象に残りました。それは列車の自爆装置を使って変異種と心中しようと彼が持ち出したときです。むろん妹を助けたい柘榴は激怒しますが他に方法がないと知っている波金は言い返しました。エージェントたちの主な目的は変異種を研究して治療法を探ることです。しかし完成までに一般の人間が死に絶えて社会が崩壊していては意味がなくなります。つまり波金は自らを犠牲にしても感染が大きく広がることを防がなければならないのです。すでに個人の生命など無視すべき酷い状況であること笑うような嘆くような複雑な怒りのセリフが表現されていました。