すでにゾンビが許容された日常での犯罪捜査に好奇心がそそられました。
タクシー運転手が屍体化、つまりゾンビ化して発見時には頭部をつぶされ退治されている現場に警察が来ていました。これは昨夜、メガネの葛城先生が妹に食べされるための肉を採ったあとの屍体だったのです。葛城は妹がゾンビ化してしまったため隠して治療をしようと考えています。ただゾンビは肉を食べないと死ぬと葛城は考えていて屍体()損壊事件を起こしていたのです。私が考えさせられたのはゾンビの不死のパワーの源です。ゾンビとて何らかのエネルギーで動くのですから永遠に外部から補給せずに生き続けるのは無理なのです。人間の肉をエネルギーに変えるという考えはありますが、いつまでも食べられずに朽ちて骨のようになっても少しは動けます。これほど長期間動けるのは自分の筋肉や骨をエネルギーに変えていると考えるのが自然です。そうであれば葛城は妹が朽ちていくのを遅らせ、治療法を見つけるまで他人の肉を食べさせると決めたと考えられます。
前日に同級生がゾンビ化した高校では山中が事件のことを話そうとしていました。しかし友人らは東条や南が存在すらしていないかのような反応です。まさかゾンビ化した同級生を忘れるわけもなく記憶の改変も学年全体では不可能かと思われます。私の見立てでは山中だけが雰囲気を読めずゾンビの話をしてしまったのです。友人らも当然ゾンビ事件は知っていますが、それを話してもどうにもならないとタブー化したのです。親や兄弟姉妹から家庭でタブーがあることを知らされている生徒がほとんどで山中だけが真正直に話してしまったと私はみています。これは校内で銃乱射事件があった場合、学校が再開されたケースと似ていると感じました。数名の同級生が死亡してショックは大きいのです。再び登校した生徒らは事件のことをあえて話さずに日常へ戻っていくとしても不思議はないのと私は思いました。
山中が帰宅すると刑事の波金が来ていて母親と話をしていました。波金は拳銃と薬を置いて立ち去り謎の印象を残しました。学校で葛城に相談した山中は電話番号を渡されます。その夜、山中家では母親がゾンビ化して息子を食おうと暴れました。
ゾンビを退治する場合に人間とそれとを見分ける基準が必要になります。例えば全員を血液検査するとしても手間がかかりすぎますし潜伏期間が長い場合や検査をスルーする変異型のおそれもあります。つまり発症までは誰が感染者かわからないということです。ただ幸運なのは当作のゾンビは目の色や頭部がボコッと二つに増加することで外見から判別可能です。