十王は自分のエミリという女みたいな名前を気にしていました。
いつのまにか十王と東、ウェスタン沖原がチームになってヘリを奪っていました。とくに沖原はクチナシの仮面をかぶっていて能力を上げています。この調子では東もかぶっているのではと私は予想しました。ヘリを奪ったのはゴールのために必要な三つのコードのうちのひとつ、ヘリのコードを取得するためです。レールガンのコードを取得しただけで能力が爆上げするのですからヘリのそれも期待できます。
次元を超える能力を獲得した本城ゆりは、まだ不安定なため皆を巻き込まないように離れた場所にいます。もし無意識に次元を超えるとそばにいる味方を巻き込んで連れて行ってしまうのです。そして味方とはぐれれば二度とこの領域に戻ってこれないことになります。そんなゆりの脳内に久遠が転送されていました。久遠はボディが死んだときに意識だけをスナイパーの脳内に転送して生き続けていました。私はスナイパーがコードを見た時に久遠と融合したと思い込んでましたが違いました。久遠はゆりの脳内で生き続けるのです。私はここで久遠がスナイパーとゆりを行き来すれば情報伝達役になれると考えました。特にスナイパーは統括者とアクセスしていて情報通です。その極秘情報をゆりに伝えれば鬼に金棒というわけです。
私が感心したのは久遠の判断です。現在のゆりは他人を巻き込まないように孤立しています。そして脳内に久遠が転送されてきたのです。ゆりは次元を超えて戻れなくなった場合に久遠を巻き込んでしまうと恐れています。しかし久遠の役割は他者ではできないものです。先ほどのスナイパーとの連絡役も可能性があります。さらに次元を超えてさまよっても脳内の久遠はゆりと物理的に、はぐれないのです。はぐれなければ、いつかゆりと共にこの領域に戻ってこれます。生身の人間では危険すぎる相棒役を久遠が買って出たわけです。ちなみにスナイパーは統括者とアクセスしているためナビゲーター役の久遠は用なしとなっています。