とうとう熊が宿舎におじゃますることになりました。
二匹いた熊の一匹は脳温度が上がって倒れてしまいました。こうなれば犬が噛み殺しても良いですし、放っておけば自然に死ぬと思われます。しかし残り一匹は宿舎のドアを破って入ってこようとしていました。当然、犬も背後から熊を襲いますが、まずは人間の安全確保です。熊が宿舎を壊せば人間の安全地帯は無くなります。そして仮に犬軍が勝っても犬を閉じ込める施設が破壊されているため人間は港へ行けなくなりそうです。なんとしても熊の侵入を防いで宿舎を守らねばならない状況です。
熊と犬が宿舎のドアを破ってなだれ込んできました。熊としても犬から逃れたいと必死に遮蔽物の中へ来たのです。ただ、これまで数時間も動き続けていた熊は残りの一匹もやはり脳温度が上がり倒れました。これで熊は無効化されました。しかしドアが破られているため犬を閉じ込めることは不可能です。
徹はバケツに水を汲んで保険をかけていました。毒のある夾竹桃を刻んで入れた水を置いておいたのです。疲れた犬たちはその毒水を飲んで絶命しました。バーサク状態にある犬も動いたあとは水を飲むだろうという徹の読みは大当たりしました。
この作品では本気になった動物の怖さを堪能することができました。恐ろしい熊も普段は人間との戦闘を避けています。熊とてワケの分からない人間のような動物と戦うのは嫌なのです。しかし熊も子供を守るためや腹をすかせている場合、気がたっている時は人間を襲います。私はこれまで読んだ熊による事件のことを思い出しました。熊は人間を襲いますが不意に立ち去ったりもします。この作品のように長時間激しく動くと死んでしまうというのが理由ではないかと思いました。