意外性があって楽しめました。
徹の発案の犬閉じ込め作戦が実行されました。まずは徹が扉を開けて犬を誘い込みます。管理室に逃げ込んだ徹たちは中からカギをして閉じこもります。最初は数匹の犬が入り込み、続いて全ての犬が宿舎一階の廊下に入りました。その様子は二階の生徒が確認します。他の生徒たちは一階の管理室の隣の大部屋にいました。全ての犬が宿舎廊下に入ったあと徹が外からカギをかけて犬を閉じ込めたのです。
ここまでは徹の作戦通りに運びました。あとは管理室の五条や政、二階の監視役の生徒、一階大部屋の女生徒などが外に出れば終了です。
うまく犬の群れを閉じ込めたかにみえましたが思わぬ落とし穴がまっていました。一人の錯乱した生徒が逃げるのを嫌がり一階大部屋の廊下とのドアのカギを開けてしまったのです。すると廊下から犬が大部屋の入ってきて生徒たちを襲いました。まだ窓から外に逃げていない生徒たちはガブガブとかまれてしまったのです。
今回おもしろいのは、この時のパニックに倫理上の問題があることです。目の前で生徒が犬に噛まれているという状況は発案者の徹を動揺させるのに十分でした。完璧な作戦でも一人の乱心により全てが台無しになるのです。そして中の生徒は窓から逃げようと必死になります。しかし外の生徒は窓を閉めて犬が外に出ないように叫んだのです。もし犬を外に出してしまうと数匹でも生徒たちは全滅の恐れがあります。まだ逃げていない中の生徒を見殺しにして外の生徒を守らなければ、より多数が死ぬというトロッコ問題が生じました。