まずは手首の傷を洗う男子の後ろ姿からスタートです。
ボーイッシュな女子という線もありますが、後ろに男性用の便器が見えていますので男子で確定です。主人公かと思われるこの少年は徹という名前でした。頭がつんつんオールバックの政は棒をかついでイキリ気味に登場しました。何か敵らしき者が外にいることと怪我人がすでに出ていることが判明し、私は少し楽しくなってしまいました。この作品は事件が起きた後から物語が始まっているのです。惨劇の途中から開始することで一気に読者を物語に引きこむことに成功しています。
全員が同じ年齢層で同じジャージのようなものを着ていることから、舞台は学校の臨海学習のような宿舎であることが推測できました。私はこの時点で少し不安感を抱きました。学園もので特有の服装が同じで誰か分からない現象を危惧しています。同じ年頃のキャラを描く際に服装が同じなら、髪型などで見分けるしかなくなる苦しい状況が生まれます。20名以上の生徒がいてパニックの中で生徒を見分けられなければお話が分からなくなる恐れがあります。
徹や政やメガネが恐れていたのは屋外の柴犬でした。犬種は未確定ですが柴犬のような愛らしい犬が人間サイドを馬鹿にしているようにくつろいでいます。私はまさか犬コロがモンスターとは思えず拍子抜けしました。いくら集団で襲ってきたとて相手は柴犬です。屋内に数匹づつ引きこんで棒などで退治すればイージーな相手かと思われます。しかし徹を含めて複数の怪我人が出ていることが気になりました。
犬の遠吠えにおびえる生徒たちですが志津間と呼ばれる女子が登場しました。志津間は先生たちが戻ってこない事と管理室の電話がつながらないことを告げ皆を絶望させました。パニクった女子はクラス委員長の山県に外に出るように求めましたが危険です。しかしすでに手当てをされていた怪我人の石嶺たちが耐えきれずに外へ出てしまいます。石嶺たちは戸締りをしてじっとして助けを待つか、ダッシュで走り港まで助けを求めに行くかで悩んだようです。危機の際に動くか動かないかは結論の出ない難問です。