結果的には薫は無理をしてでも雪上車の所まで行くべきでした。
ヒグマの巣に入った薫は包丁とノミと熊スプレーでヒグマを撃退しました。その中で熊スプレーだけが飛び道具なのでそれをなぜもっと早く使わなかったのかが、くやまれます。小屋が襲われた時も熊スプレーをシュッと吹いていればある程度撃退できたかもしれないのです。ただそれでも薫が刃物にこだわったのには理由があると私は考えています。熊スプレーでヒグマが退散したとしてもそれは一時のことです。またヒグマは体勢を整えて襲ってくるはずです。つまり助けが来る一週間も熊スプレーは持たないのです。ですから薫はナイフで一太刀あびせて熊に傷を与えようとしたのです。それが無理だと分かった彼女はスプレーで時間を稼いだにすぎないのです。
その後、薫は小屋に戻ってきてしまいました。私は怪我をしていても雪崩観に向かうべきだったと思っています。今なら熊の動きも遅いはずでワンチャンスありそうです。小屋に帰ってきた薫はショッキングな光景を目にしてしまいました。それは小屋が傾くほど破壊されていて床板まではがされています。怒ったヒグマが小屋をめちゃくちゃに破壊したのです。なるほど昭はバリケードも持たないと言っていた理由が良く分かりました。本気を出したヒグマの実力はこれほどまで凄いのです。熱々の薪ストーブだけが無傷ですので熊は熱を恐れたようです。私はここで小屋の周りでたき火をして熊を寄せ付けない作戦を思いつきました。しかしすでに小屋は破壊されてそれも無意味だと悲しく思った瞬間、隠れていた美々と瀬戸が出てきました。大変うれしい出来事ですが次は寒さとの戦いも加わりました。小屋が破壊されてあと数日は助けが来ない極寒地獄なのです。