私は主人公である薫まで死ぬのではないかと考えてしまいました。
10時間たっても帰ってこない昭の遺書を薫は開けて読みました。イモ焼酎を一杯やった薫は自らが雪上車を取りに行くことに決めました。もちろん歩いて単独ですので美々らは小屋に置いていきます。小屋には信用できない西が残っていますが行くしかない状況です。待っていても一週間は耐えられないことは明白なのです。とすれば無理をしてでも薫が雪上車を取ってきて皆で脱出するのが一番チャンスがありそうです。
冒頭の説明でもありましたが今は二日目の晩のようです。私は勘違いをしていてい明が出てから10時間以上たっているのなら夜明けは近いから、それまで待ってからが良いと考えていました。しかしすでにかなり時間が経過していて二日目の夜になっています。薫が移動するのなら昼間がベターですが私は現場の判断を尊重しています。昭が帰ってこないことが判明した以上、できるだけ早く雪上車を取りに行かなければならないのです。そして今夜は月明りでヒグマの姿がよく見えそうです。
薫は移動中にヒグマの姿を確認しましたが、すぐには襲われませんでした。まるでヒグマは遊ぶかのように薫に追いついては姿を消すのです。私がヒグマなら薫を道無き場所へ追い込みます。そして小屋に戻れなくなった薫は動けない獲物となるのです。ヒグマは小屋や車を認識していて、やっかいだと考えるはずです。できるだけ薫を建物などから離して狩る準備をしています。作品上では薫はヒグマの巣を発見しています。私はヒグマが自分の巣の近くに薫を追い込んだのではないかと考えています。しかし薫は戦うことに決めて自ら熊の巣の中で待ち伏せをしました。まさに虎穴に入らずんば虎子を得ず、とはこのことです。