冒頭のシーンはかなり楽しめました。
女子大生の赤城マキはキャバクラでバイトでもやろうかと考えていました。東京で一人暮らしを始めた彼女は仕送りを受けているのに家族を煙たく思っています。そんな回想シーンからゾンビだらけの現実に移行するシーンは面白かったです。マキはゾンビの倒れている公衆電話で受話器を持って何とも言えない表情をしていたのです。私の想像では彼女は家族に電話を試みていたと思います。
パラダイスというオラついたコミュニティで出会ったヒゲは三浦という名前でした。さらに勇吾というワクチンで治療された元ゾンビがいて、将太も元ゾンビです。マキも元ゾンビであることから4人中3人が元ゾンビという奇妙なパーティは東京ドームを目指しています。
東京ドームについたマキたちは入口の怖めの男に止められました。ここでは何かをしゃべって感染の有無を簡易判定するようです。私がとても気になったのは入口の顔に傷のある男のことです。彼は口元が避けて目元まで傷があります。ゾンビには顔に傷のあることが多く、彼もそうではないかと一瞬思ってしまいました。しかしこの作品の設定ではゾンビはまともな会話ができないのでゾンビ疑惑はなくなります。ただ元ゾンビの可能性は残るのです。彼が治療済みの元ゾンビならこの施設にはワクチンがあることになりマキたちの苦労の意味が無くなります。
入口の検査所にはここを統括している島本という人物が現れました。彼は大佐と呼ばれ首相を避難させる役目をしていました。しかし島本は首相が愛人を連れていたりするのを見てクズであると判断します。その結果、島本は首相を殺めて軍事クーデターのような感じになったのです。私が注目しているのは彼の表情です。島本は昔は真面目な顔をしていました。しかし今は作った笑顔をして不気味な感じです。島本の顔がこうなるまでに何があったか、想像せずにはいられない優れた作品だと思いました。