冒頭の仕掛けが秀逸だと思いました。
アイドルのイベントでコスプレのゾンビが用意されました。軍人のような格好の役者たちは顔色の悪いゾンビのメイクをしています。アイドルの針尾ありさは秋葉原のイベントの控室でゾンビ役者と顔合わせしようとしましたがそこで騒動が起こりました。なんと役者が他の役者の肩口に噛みついたのです。肩口からは肉が千切れふざけた遊びの範囲を超えています。ここで私は役者のひとりがリアルゾンビになっていたと理解しました。そして外ではアウトブレイクが始まっていたのです。冒頭から読者をだますとても興味深い展開です。
イベント会場の外では二人の男性が開場を待っていました。そこへ軍人ゾンビやゾンビにやられた怪我人が出てきますがまわりは平静です。このイベントはゾンビの出てくるゲームのものらしく、余興としてコスプレのゾンビが歩いていても不思議はないのです。私がここで思ったのはハロウィンの血だらけコスプレです。皆が怪我人コスプレなら本当の怪我人が紛れてしまうことも考えられます。例えば血を流して倒れている怪我人がいてもイベントの参加者が酔って寝ていると勘違いしてしまうのです。