怖いサバイバルホラー漫画の感想

なるべく事前情報を入れずにサバイバルホラー系漫画の感想などを書いていく。

モンキーピーク第35話のあらすじと感想

極寒の野外か拷問のある山小屋かどちらがマシか分からなくなりました。
中岳小屋では炭酸飲料が盗まれ問題になっています。何より貴重な水分であるペットボトルが一本無くなりました。そこで現在のリーダーである安斎は山小屋で犯人捜しを開始します。まずは目撃者など手がかりを探しますが、拘束されている氷室が佐藤の名前を出します。氷室は自己主張の激しい女性の佐藤が飲み物を盗んだと言い出したのです。この氷室は過去に拷問に耐えかねて早乙女が辻さん殺害の犯人だと言ったことがあります。もし早乙女が犯人なら猿と協力していることになりますが、死に物狂いで猿と闘った彼が裏切り者とは思えないのです。つまり氷室は冤罪を意図的に作り上げた実績があるのです。
宮田が昔の出来事として営業でのミスを自分のせいにされた経験を話しています。氷室は自分の責任を回避するために他人を犯人に仕立て上げる性質を持っているようです。この男は虚言癖があるのではないかと私は感じました。自分に疑いの目が向くと嘘を言ってその場をしのぐ彼の態度は許せないものがあります。日常生活では嘘は後日検証されて、それなりのペナルティもあるかと思います。例えば氷室の信用が落ちて誰も彼とまともに付き合わなくなる等です。しかしこの極限状態では数日間だけ嘘が通用すれば良いのです。まさに生きるか死ぬかの状況では氷室のような曲がった性格が有利に働いてしまうことがあるのだと思いました。



モンキーピーク第34話のあらすじと感想

奇妙な八木兄妹の物語上の役割が分かってスッキリしました。
目の異常に大きい八木兄妹は登山の熟練者です。そして彼らはこの山にも何回も登っていて滑落事故にも詳しいようです。今回気づいた点はこの兄妹は解説者として見ることができるということです。八木兄妹は社員たちの現在の状況や位置から危険はどの程度あるのか、生還の可能性はあるのかを予想してくれています。例えば以前、宮田の革靴を見て次の山小屋まで行けないと言っていました。
今回兄妹は早乙女の裸足を指摘しています。裸足では氷点下になる山の移動に耐えきれないということです。ここで着目すべきは兄妹が現在、山小屋にいるということです。そもそも熟練者である兄妹は自分たちでも日没までに次の目的地にたどり着けないと判断していました。もし兄妹が宮田グループに入って先に進んでいれば的確なアドバイスを出来たと考えられます。しかしそれでは厳しい状況になる前に被害を最小限に抑えてしまいます。サバイバル作品の見せ場としてギリギリの生死の境を描かなければならないという必要性はあると思いました。だから八木兄妹に解説や予想をさせて宮田グループにはアドバイスをさせないという形になったと思いました。

モンキーピーク第33話のあらすじと感想

情けない岡島の自己犠牲というドラマチックな展開でした。
鎖を保持する宮田は岡島と猿の合計体重を支えています。早乙女は崖に移ってなんとか岡島を登らせようと必死です。しかし岡島は岩に移ることも出来ず宮田の体力も時間の問題です。このままじっとしていれば猿と宮田と岡島は鎖でつながれたまま落下することは明白になりました。もしかすると宮田を支えている林さんや早乙女まで巻き込む可能性もあります。残酷な考えですが岡島さえいなければ他は助かると思われます。
岡島は自分を最後まで見捨てない人々を生かすために決断をしました。それは自分が犠牲となって猿と落下することです。この場面はとても意外性があって驚きました。岡島は鎖を自ら手を放すのではなく取れそうな岩の固まりをはがして落ちたのです。そして岩と岡島が猿に当たり落下していきました。彼は明確な行動で猿を道連れにして落ちたのです。
岡島の最後の表情は秀逸です。泣いてはいますが明るい笑顔のような満足した表情です。そして目の合った早乙女に手を振っているようにも見えます。これは別れを伝えるとともに落下は自分の意思であることを示していると感じました。この最後の表情はアクシデントや偶然ではなく彼の狙いだったことを伝えたかったと思いました。