人間の匂いは、ごまかせているようです。
希、聡、ネズミ、ユカの四名は人間が働いている労働地区に入ってみました。吸血鬼であれば平民でも管理側なのでカギを持たされています。居住区では隣に住む吸血鬼とすれちがっても牙を偽装しているので人間だと気づかれないのです。私はいささか拍子抜けしてしまいました。あれほど頑張って吸血鬼から身を隠していた彼岸島時代、おもちゃの牙があればどれほど楽だったかということです。むろん既製品の牙でなくても手作りの木の牙でも遠目には人間と分からなかったはずです。私は前回まで人間の匂いがバレにくかったのは血の樽を運んでいたからだと思い込んでいました。人間臭プンプンの樽のそばでは匂いが隠されるのです。しかし今回は樽もなく偽装できているので、やはり決め手は牙が見えるか否かです。
少し気になったのは奴隷のように働かせている人間が感染したらどうなるのかです。もうこんな生活は嫌だとネズミのように考えて自らウィルスに感染して吸血鬼化した者はどうなるのかです。例えば管理者吸血鬼を刺して血を得て自分を感染させる方法です。感染した者は見た目は本物の牙があり、実態も本物ですからほかの吸血鬼と見分けができなくなります。まさか平民として楽園内で暮らせるとは思えないのです。そういえば楽園に入る際に住民登録のような手続きがありました。ですから奴隷人間が偶然感染して吸血鬼化しても登録が無い者となります。私はそのような者は特別区に入れられて平民とともにキツイ仕事をさせられると予想します。