パニックを描いている点はとても楽しめました。
箱の中では屍体の症状が進んで人間を襲わなくなる現象が起きています。これが時間経過によるものなのか何か症状を促進するものがあるかは不明です。しかし人間を襲わずウロウロするだけの屍体は町ごと保存され研究に最適です。多数の屍体の症状を比較したり、どんな生活スタイルだったのかを把握することは有益なのです。さらに「生きた」屍体で薬品を実験できるため効果的な治療薬が開発できます。もちろん人体で実験するのは倫理的に問題が起きますが、すでに死んでいる体なら別です。
しかし今回は安全な箱の中でパニックが起きました。屍体が人間を襲いだし集まりだしたのです。箱の中の監視役の部隊や研究者が次々に襲われて感染していきました。これまで箱は屍体をコントロールして安全性を保ってきたのです。恐ろしい屍体とはいえ、武装や建物や経験で研究対象としてきました。しかし予想外の挙動により箱の中全体がパニック状態になっています。私はこれを好意的に見ています。ゾンビ作品では冒頭のパニック開始が最も悲惨で驚きがあります。しかし主人公たちや政府側がゾンビの弱点を知り対策を決めて何とか生き抜きます。そして最後にはゾンビはイージーに倒せる敵で本当に怖いのは人間でしたねという具合です。しかし本作品は箱の中でパニックが再加速して楽しめました。