もしも早乙女が助けに行かなければ、どうなっていたかを考えてしまいました。
暗闇から人の声がするということで早乙女、シマが探しに行ったことが始まりでした。その声は赤崎、高杯に拘束された葉山で罠だったのです。ですから千葉隊長の言うように誰も様子を見に行かなければトラップにかからず素早く現場を突破できていたのです。その点で今回の千葉の判断は的確でした。時間制限のある中で余計なことはできなかったのです。しかし早乙女、シマを助けるために沼口、清水まで竪穴ポイントまで行って千葉はひとり残ることになります。そして沼口が死亡して赤崎は拘束して現場に残し高橋は取り逃がした形で全員が千葉の場所まで戻ってきました。
さてニセ軍人民間人混成組は難所の崖まで来ました。そこは急斜面で多数の杭を階段代わりに上がります。足が悪い早乙女が最後尾を登っていると急に安斎が出てきました。彼は前作で死亡しているはずですから幻影です。これは早乙女が赤崎を始末してこなかったことに対する後悔の念のビジュアル化とも読めて楽しめました。特に安斎の顔がさわやかに美しく美化されているのが印象に残ります。実際の安斎はもっとヤバい顔でしたが早乙女の脳内で美化されているということです。前作の安斎はリーダーシップがあり現実主義者で戦闘力もあって頼りになる男でした。しかし自分が助かるために他者を踏み台にするという考えが強く早乙女や宮田らは反発していました。その安斎が幻影で見えたわけですから早乙女の信条が揺らいでいるという表現です。