ヒグマが吹雪の間どうしていたのかが気になりました。
吹雪の一夜が明けて薫たちは動き出しました。天気は晴れて庁舎へ着けば人間サイドの勝ちです。幸い彼らの傷は浅く瀬戸も治療すれば大丈夫そうです。つまりこの一件を逃げ切れば薫と瀬戸と美々の新生活が始まると思われます。そんなハッピーな空気を読まずヒグマは朝っぱらから襲ってきました。
まず薫がマウントポジションを取られました。さらに美々を狙うヒグマを瀬戸が引き付けます。瀬戸は美々を守ると同時に熊にカウンターを加えようと考えています。手製のヤリを地面に突き立てて座り込むのです。歩けない瀬戸にはまさにベストの戦法です。ヒグマが瀬戸を襲うために覆いかぶさればヤリが心臓に刺さるという寸法です。これはアイヌの若者の武勇伝を真似したものですが失敗に終わりました。素人がやっても成功する戦法なら皆がヤリを持って熊に立ち向かうはずです。それをしないのは確率が悪すぎるからです。ヒグマとて何か棒的なものが立っているのは見えています。そこでチョイと爪を振ればヤリなど簡単に折ってしまうのです。
怒ったヒグマは瀬戸の肩口をくわえました。私はまたブンブン攻撃が来るかと思いましたが今回は違いました。なんとヒグマは瀬戸の顔に爪を立てたのです。瀬戸の顔面が裂けて血が噴き出しました。どうやらこのヒグマは人間の頭部にこだわりがありそうです。エスは顔面をはがされました。眞伊子は頭部をちぎられました。昭は頭頂部をガブリ&皮をはがされ、瀬戸は顔面を引っ掻かれました。