絶望的な危機を複数回乗り越える矛盾を解消していると思いました。
渋谷スクランブル交差点まで来た月夜田たちは、そこに至るまでに数名が命を落としています。ビルの中や外には金魚がおり、人を食うのです。そして救助ヘリまでが金魚によって墜落してしまいました。絶望的な状況の中で月夜田たち生き残り組は別の救助ポイントを目指して走り出しました。
ライトバンで宮下公園の救助ポイントに移動する途中で彼らは金魚の巨大フン柱に追突してしまいました。周りは金魚の大群に囲まれて絶体絶命です。しかし月夜田は頭を使って金魚が温度差に弱いことを看破しました。変温動物である金魚は急激な温度変化でショック死してしまうのです。そこで彼はライトバンのガソリンに火を付けて火災を起こします。今までは金魚から隠れる作戦でした。金魚が光や音、そして匂いに反応することから彼らは夜間に香水を振りかけて隠れていたのです。しかし今回は初めて金魚を大量に始末する方法を編み出したことになります。野生動物の優れた能力に対して人間が対抗しうるのは知力のみです。その唯一人間が勝っている知力で打ち勝つ展開には熱いものを感じました。
宮下公園に到達した月夜田と碓氷アリサと他一名は自衛隊の救助ヘリにつかまることができました。しかしアリサは手首の飾りを落としたことから転落してしまいました。そして月夜田は彼女を助けるために自ら金魚の群れにダイブするのでした。もう助からないと思われる者を助けるために新たな犠牲者が増えていく展開はドラマチックです。
月夜田とアリサは、またもや絶体絶命です。彼らが幸運にも生き残る展開は考えられますが嘘くさくなってしまいます。そう何度も危機を乗り越えるのはリアリティがないのです。ですから月夜田たちは今回で死亡したと考えるのが自然です。ただ主人公である月夜田初とヒロイン碓氷アリサが死亡しては物語が終ってしまいます。それを解消するのが新たな主人公の登場です。