客観的に見ると春日親子が一番怪しいと思いました。
春日の父親はこの船の設計者です。スパルタ的に教育をしていた父親を春日は恨んでいたようです。そして今回の沈没事故の原因は学園の理事長にあることが分かっています。軍の生物実験のモルモット役として春日や滝川たちが選ばれたのです。沈没事故はその証拠隠蔽として仕組まれたものでした。生徒の中で春日は理事長の企みを知っています。それを利用して春日は父親に復讐する気です。つまりこの事故の責任を父親の設計ミスとして証言するつもりです。そのためにどうしても春日は生きて海上に脱出しなければならないのです。
ここまでで印象に残ったのは春日親子のことです。まず船の構造に一番詳しい春日の父親がいます。その息子だけが救助されたとすると世間の注意は春日の父親に向くのです。子供だけは助けたいと思った父親が沈没事故を事前に息子に伝えるという事が考えらえられます。誰も知らない極秘の脱出ルートを息子に教えているなど様々なストーリーがありえるのです。ただ本作品では春日と父親の確執が描かれているのでその線は消えます。
理事長がある国から多額の報酬を受け取っていることが描かれていました。その是非は置いておいてこれは口止め料に相当するのだと私は考えています。もし理事長が真相を警察などに話せば刑事裁判はもちろん民事裁判でも多額の賠償責任を負います。死亡した生徒の親などから賠償請求を受けてしまうのです。そして理事長は文無しになって牢屋に入ります。もし免責などで刑事は無罪になっても民事責任を逃れるのは難しいと思いました。よってこの多額の報酬は多面的に理事長を口止めをするための方法だと思います。